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20代のあまり本を読まない人への読書案内

   

目次

ときどき、僕の20代のクライアントさんから、「あまり本を読まないんですけど、おすすめないですか?」っていわれることがあるんだよね。

これ、結構難しくて、「最近読んだ本の中でおすすめないですか?」だと 自分の好みをつたえればいいんだけど 本を読まない人に本のおすすめって、「ラーメン嫌いなんですけど、美味しいラーメン屋ないですか?」的に難易度が高い。

ただ、20代のクライアントさんが、なんらかの理由で 「頑張って、本を読んでみよう」っておもっているわけで その期待に答えたい。

で、いくつかの条件を満たしたリストを以下に紹介してみるね。

 

1 少なくとも1人以上は、「すっごい面白かったです!」といわれたもの

いつも 僕が勝手に2,3冊のリストを渡して、その中から相手が気に入ったものを選ぶって方法をとっていますよ。

で、「あぁ、わりと面白かったですよー」ってものはこのリストに入れてないよ。

そうじゃなくて、前のめりで「すっごい面白かったです!」というものだけをいれました。

もちろん、それを保証するものではないけど 一応そういうフィルタリングをしました。

2 日本の作家が書いたヤツ

これね、わりとポイントだったりするんだよね。

翻訳されたものって、あんまり本を読まない人は、登場人物だったり、事例に、外国人の名前がでてくると、誰が誰だがわからなくなるんだって。

言われてみると、海外文学なんか、あだ名で呼ばれたり、略称でよばれたりするので 誰が誰だがわからなくなることは多いね。

そうでない、混乱しないのを選んでます。

3 わりと短め

これは、鉄板。

4 文庫になっているもの

そもそも、あまり本を読まない人なので、「本を買う」ということ、そのものがハードルが高いケースがおおいです。

なので、手に入れやすい文庫をおすすめしています。

 

では、まずこれから

 

1 「何者」 朝井リョウ

やっぱりこれは、若い人に評判よいです。

メインテーマは昔からある「モラトリアムから大人へ」だとおもうんだけど、それを就活を中心に物語にしたのが、リアリティとか同時代性みたいなものにつながっているんだとおもう。

意外と年齢がうえの人でも、共感を得ているらしいので 「大人」のふりをした「何者」かになろうとするのは みんな何歳になっても、そう考えるのかもね。

たぶん、「若者は夢をみるものだ」というテーマに見せかけて、

「大人は夢をみないものだ、と思って読んでたら、実は自分も凄くおもいあたることがあってドキッとした。ってことは、実はここにでてくる若者と自分ってたいして変わらないんじゃね??」

ってのが、この小説のポイントのような気がする。

20代でも、学生時代はもう遠くだなーとかおもっていたら 実は今でもあんまり変わらなかった…みたいな衝撃が来るとか言ってました。

いや、20代どころか それ以上でもガッツリ衝撃きますよ。

 

2 「夢をかなえるゾウ」 水野敬也

物語ではあるけど、小説のような、自己啓発書のような本。

間違いなく読みやすいし、楽しい本だよね。

教科書に載っているような若者向け本って、要するに「あとで役に立つので、しんどいことを若いうちにやっておきなさい」って内容だし、逆に自己啓発書って、「しんどいなら、嫌われてもいいので、ありのままでいなさい」的な内容で、どっちも嫌になるよね。

20代くらいで、知っておきべきことって

「自分が手に入れたいとおもうもの(こと)は、だいたいこうやると手に入るのだな」

って、理解することだとおもうな。

まぁ、それが本当に手に入れたいものかどうかは別として。

そのプロセスをこの本は面白く紹介しているよ。

意外と内容というかやり方は、よくいえばオーソドックス、悪く言えば古臭いので、安心できるものですね。

3 「69 sixty nine」 村上龍

えらく古いものが、リストに入ってますね(笑)

でも、これも若い人に評判いいですよ。

村上龍といえば、「カンブリア宮殿にでてる、おじさん(おじいさん)」っていうと、「あぁー!」なんて反応は全く返ってこなくて、そもそも若い人はカンブリア宮殿とか観てません。

なので、「村上龍とは…」なんて説明もしませんね。

1969年のことを書いた本なので、もはや歴史上(笑)の話なんですけど、基本的に学生って同じようなことを考えるんだね。

これを読んで、「面白かった!」って人に、他の村上龍作品とかはすすめません。

長崎オランダ村 」とかは似たようなテイストだけど、まぁ 次に読む本ではないですね。

あと、不思議と女性に評判よいです。

なぜかな?

 

4 「ここは退屈むかえに来て」 山口マリコ

これは、女性限定。

男性には、全くうけません。まぁ、あんまりすすめてないけどね。

わりと内省的な物語だけど、僕のまわりで、この内容に共感できるって人は いまのところ1人もいません。

でも、なんで読んで面白かったっていうのかというと、

「あ、こんな人いるー」

って思えるからだそうです。

たぶん、作者の狙いはそこのような気がしてて、読者に共感を求めているのではなくて「あるある感」を出すことによって、それを第三者的に俯瞰する自分が、「あれ?」ってなるところじゃないかなーっておもうけど、どうでしょう?

ちょっと、暗めのトーンなのは あらかじめ注意しておきましょう。

 

5 「ふがいない僕は空を見た」 窪美澄

これはまたずーーんと重い物語&暗っぽい話です。

恋愛とか性とかのかかわりあいが中心になる物語なんだけど、わりとグロテスクで身も蓋もない話…のわりには、読後感はさわやかな感じが残る本ですね。

 

テーマが重いんだけど、散りばめられているテイストが現代風なので、「あぁ、こういう物語が本にあるのか」って思うみたいだね。

たぶん、「重いテーマ」&「現代風で読みやすい」みたいな試みっていろんな作家がチャレンジしているんだろうけど、そのバランスがうまいこといってるんだろうね。

短編が全部、最終的につながって長編になるって構造も、まぁそれほど珍しいものではないんだろうけど、あんまり本読まない人は「へぇー!」って思うみたい。

 

6 「ゴールデンスランバー」 伊坂幸太郎

これは、例外的にちょっと厚い本です。

でも、「厚いけど、読んでみる?」と勧めてみると、「面白かった!」っていわれる本ですね。

今の20代でビートルズを知っているか?というと、知っている人はだいたい本とか読む人です。本とか読まない人はビートルズとか関心ないですね。あたりまえですけど。

そもそも僕自身がビートルズ世代でもないし、日常的に聞いていてたわけでもないんだけど、その雰囲気ってのはなんとなくわかる(気がする)

で、読後にビートルズのモチーフについて「解説」してあげると、「へぇー」って話になるので さらにコミュニケーションが活発になり楽しいです(僕が、です)

あと、これはやっぱり読後は映画をみてもらうのがいいですね。

そうすると、ビートルズ、斉藤和義、伊坂幸太郎みたいな流れがわかってもらえますね。

音楽とかが、作家になるきっかけになるとか そういうことが現実にあるってことを知ることが新鮮だったって話を聞いたことがありますね。

まぁ、そんな20代の人はそもそも斉藤和義でさえ知らないわけですが…

この本読めれば、伊坂幸太郎の本はどれでも読めます。

 

 

以上、ずらずらって並べてみました。

最近また、20代のあんまり本読まない人にすすめられるヤツもでてきたので、またいつかこのリストの最新版を話してみたいですね。

 

と、いうことで、また次回!

 

 

 - Book 日本文学

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