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「最強のふたり」佐治敬三と開高健

   

ボンドはおだやかにいった。「サントリーを飲んだ上に、あんなに酒をあびるからいけないんだ。日本のウィスキーが下地を作るのには何よりもいいという説は、信じられないな」

「サントリーについてのいまの説はまちがってるぞ。あれはよくできたウィスキーだ。いちばん安いホワイト・ラベルだけ飲めよ。一本十五シリングぐらいだぞ。ほかにももっとしゃれたのが二種類あるが、いちばん安いのがいちばんいい。しばらく前に醸造所にいって、そこの社長の一族というのに会ったよ。ウィスキーについて、いろんな面白い話をしてくれた。その男の話によると、いいウィスキーは写真がよく撮れる土地でしか作れないんだそうだ。そんなこと、聞いたことあるかい?何でも澄んだ大気の光線がアルコールもあたえる作用に関係があるらしい」

「007は二度死ぬ」より

007のジェームス・ボンドは、スコットランド出身という設定です。

で、本場のウィスキー出身者が、あんまり日本のサントリーを褒めてもどうかと思うので、まぁなんだかわかりにくい表現になったらしいです。

 

 

映画の中では、サントリーオールドとか、赤玉スイートワインとかもでてくるので、サントリーにも配慮したんでしょうかね。

(ちなみに、この映画は個人的にはなかなかトンデモ映画ではないかと思いますね。設定が荒唐無稽だし、この時代にジェームス・ボンドが日本人になる(忍者やら漁師やら)っていうのも笑う。無理やろ)

 

サントリーの鳥井信治郎創業者と、ニッカの創始者竹鶴政孝氏の物語は、NHKのドラマ「マッサン」などでよく知られていますよね。

この本は2代目社長の「佐治敬三」と作家「開高健」の2人の交遊録というか、物語になります。

 

佐治敬三と開高健 最強のふたり

開高健氏と佐治敬三氏の出会い

開高健氏は、僕の世代の作家ではないんだよね。

どちらかというと、僕の父の世代が熱心に読んだ作家で、そういえば父の本棚にも何冊かあったな。

なぜ、覚えているかというと、「オーパ!」という本の表紙に、開高健氏と釣った巨大な魚の写真がとても印象的だったから。


オーパ、オーパ!! アラスカ篇 カリフォルニア・カナダ篇 (集英社文庫)

 

あともう1つ、村上春樹の「ダンス・ダンス・ダンス」という小説の中で、あきらかに開高健氏をモデルとした作家がでてきて、悪印象な書き方をしていたのが、記憶にある。

開高健氏が選考委員のときに、芥川賞に選考しなかったので悪く書いたのかな、とか下衆っぽく勘ぐったりするけど ダンス・ダンス・ダンスを再読してみると、それほど悪い人物に書かれているわけではなかったよ。むしろ、開高健氏をやたらと愛でるおっさんたちに悪意がある感じがしたけどね。

ところで、開高健氏と佐治敬三氏の出会いについて。

ものすごく端折っていうと、開高氏の奥さんがサントリーで働いていたので、夫をサントリーに紹介した、ってことだね。(すごい省略だ)

開高氏の奥さんは、ファンからは悪妻で有名らしい。知らんかったけど。

でも、世に悪妻の旦那って、成功するってイメージがあるよね。(野村克也、落合博満、、、こころなしか、開高健氏と両名の風貌が似ている気がするが、、、)

まぁ、それで開高健氏が、サントリーの宣伝部に入って、コピーライターとして活躍して、後に芥川賞をとる。

その中で、佐治敬三氏との中が、育まれていったということだね。

本を読むと、サントリーという会社の中で、宣伝部(当時は寿屋宣伝部)っていうのは、創業当時から重用な部門だったことがよくわかりますね。

あと、めちゃくちゃ儲かっていたことも、後の文化貢献活動に積極的にお金をだしていたことから、わかります。

おかげで、四十五年間ビール事業が赤字でもやってこれたってことがすごいね。

「いかにも一般大衆が喜びそうなアイディアですね」のときも、ペンギンが歌っていたときも、赤字だったんだねぇ。

 

「どうです佐治はん、私とあんたが組んだ仕事はことごとく大成功でっせ!」

サントリーの佐治敬三氏に、冒険作家として乗りに乗っている開高健氏が言った言葉らしい。

 

アメリカ大陸を釣りをしながら横断していきながら、その様子を週刊誌に書くという企画。

そんな企画が通ることが、時代を感じるけど、それでもお金が足りなくて、サントリーの佐治敬三氏に相談したところ

「サントリーウィスキーのテレビCMを三本ほどとってきてんか!」

と条件をつけて、後にそのCMが大ヒットする。

そこで、表題のセリフが開高氏からでたというエピソード。

 

本を読んでいると、その時代の雰囲気があって、その時流に乗った二人だからこそ、わかりあえたんじゃないかな、って思えてくるね。

実際、開高健氏がなくなったのが、平成二年、同じ年に佐治敬三氏が社長を退任。

ちょうどバブル崩壊のときだよね。

だから、二人が凄く輝いていた時代っていうのは、日本も絶好調の時代で、そこに凄くハマったんだろうね。

それがよくわかる本の内容だった。

 

ジャパニーズウィスキー

 

ところで、あまり知られていないと思うけど、2021年4月1日から「ジャパニーズウィスキー」の定義が変わっています。

それまでは、「ジャパニーズウィスキー」という定義は、実はとくにありませんでした。

 

なんと、全然なかったんだよね。

 

なので、酒税法の枠の中であれば、別にどこの国で醸造されてても、どこでブレンドしてても、もっといえば、どんな混ぜものがあったとしても、「日本の酒税法」をクリアして「日本のメーカー」が販売していればOKだったわけです(ひどい、、、)

おかげで、かなりひどいモノが、単に漢字の名前をつけて、おもに外国人向けに売られていたのです。

で、さすがにマズイということで、自主規制ではあるんだけど、麦芽をつかわないといけませんとか、ちゃんと日本の水をつかうこととか、日本でつくったものでないとダメとか、なんか当たり前のことが、やっと基準になりました。

ある意味、日本のウィスキーもやっと本格的な時代に入ってきたわけで、世界で第3位ともいわれるメーカーのサントリーには、これからも美味しいお酒をつくっていただきたいですね。

あと、読んでると、必ずオールド飲みたくなりますよ(※オールドはジャパニーズウィスキーの基準を満たしています)

飲みながら、読むとまた格別かと。

 


サントリー ウイスキー オールド 700ml

 - Book ノンフィクション

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