信頼している部分と信頼していない部分
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何年かまえに、熊本県の阿蘇に旅行にいったときに 瀬の本温泉ってところがあって そこにちょっと立ち寄ったことがある。
たぶん、お土産物やさんとかに寄ったんだとおもうんだけど すごく混みあっていた気がする。
そこで、子供がトイレに行きたいって、いいだして 施設のトイレの場所とかわかりにくくて たぶん混み合っているだろうし 子供だしどうしよう?っておもってたんだよね。
それで 近くのなんだか黒くて洒落ている建物のドアを開けて 「スミマセン…」って声かけて、子供のトイレを借りたい旨を話ししたら 実に快くつかわせてくれた。
そのときの対応が、すばらしく気持ちよかったんだよね。
しかも建物の中はとてもきれいで、レストランのような、美術館のような なんだかよくわからない建物だった。
それで 「あの…ここは…何の建物なんですか?」って間抜けにきいた僕にとても気持ちのよい笑顔で 「えぇ…ここは旅館です」って答えてくれたんだよね。しかも、その時は誰もいなかったので 少し見学までさせていただいた。
そのあたりで、ようやく 僕も気づいたんだけど 要するにここは、高級温泉旅館で、だから外の喧騒とも無縁で まるで時が止まったような空間だったんだね。
そこは かの星野リゾートの「界 阿蘇」で、なるほど あとで調べて そういうとこだったんだって合点がいった。
だから… っていうわけでもないんだけど 僕は星野リゾートの星野佳路氏の考え方とかが好きで、インタビューや本なんかはわりとウオッチしているんだよね。
今回のインタビューの記事もなかなか面白かったよ。
星野:僕はよく、「星野さんはうまく現場に任せている」とか「現場をすごく信頼している」と言われたりしますけど、実は、そんなに任せているつもりもなければ、信頼しているつもりもないんです。
スタッフ全員の能力をすべて信じているということでは決してなくて、「信じている部分」と「信じてない部分」がある。「こういうところは信じている」「こういう部分はまったく信用してない」ということが自分の中ではすごく明確です。
遠藤:信じている部分というのは?
星野:信頼している部分というのは、「目の前にいるお客様に喜んでほしいと思っている」という気持ちです。それはアイスホッケーで言えば「試合に勝とうと思っている」ということです。
自分のチームを有利にするようにプレーして、チャンスがあれば相手のゴールにパックを入れようと思っている。全員がそういう気持ちで臨んでいないとチームは成り立たないわけです。
だから目の前にいるお客様にとにかく喜んでいただきたいと思っているという気持ちは、やっぱり信じているし、そこが信じられないと一緒に仕事ができないから、信じられる社員だけをリクルートしている。そこが信じられるということはすごく大きいわけです。
(中略)
遠藤:逆に、信じてないところは?
星野:スタッフ1人ひとりが常に正しい判断をするとは思っていません。むしろ、頻繁にミスジャッジをするとさえ僕は思っているんですね。例えば、新しく入ってきたスタッフは、経験が少なくて、事例の共有も少ないわけだから、ミスをして当然です。
遠藤:だから学習が大切。
星野:そうですね。学習する組織を作っていくことがものすごく大事です。学習するということは、情報を共有するということです。事例の共有です。現場にある情報資源をいかに全体に供給するかということが、現場対応力を高めると思います。
(※ 日経ビジネスオンラインより)
これは 要するに
「一生懸命やろうとする気持ちは信用するが、だからといってうまくいくかどうかは信用しているわけではない」
ってことだとおもう。
これは 当たり前のようにおもえるんだけど そうじゃなくて いわゆる部下や現場に「丸投げ」っていうケースはとてもおおい。
この、ごくあたりまえにおもえる「情熱は信用するが、結果をだすことまでは100%信用していはいない」ということが なかなかおこなわれないのはなぜなんだろう?
「こうしたらうまくいく」と説明できない上司
たぶん、上司や経営陣が、「どうしたら、うまくいくか?」ってことを「こうしたら、うまくいく」ってかたちで具体的に説明できないからじゃないかな?っておもう。
いや、少なくとも 僕がコーチングでかかわったケースは ほとんどがそういうケースだね。
上司や経営陣が「どうやったらいいのかわからない」ってケース。
こういう場合、別に上司がやり方を完璧に理解している必要はないとおもう。実際 誰にもわからないケースってあるしね。
だから ちゃんと 「どういうことをやろうとしているのか?」とか「どういうアプローチをとろうとしているのか?」ってことを 聞いてみる必要があるとおもうよ。
ウソみたいだけど、そんなことぜんぜん聞かなくて ただ単に「本当に達成できるよな?信じてるぞ」とか「やりかたとか、そんなことはいいから 結果をだせ!」とか そういう話ししかしないケース(できないケース?)は 呆れるほどおおい。
環境をととのえる責任がある!
この 星野氏のインタビューでもあるんだけど 「学習する組織をつくる」とか そういう環境をととのえるとかは 上司だったり会社の仕事だよね。
そういう組織になってないケースはとてもおおいんだよね。
だから 組織として 「どうしたら、うまくいくのか?」ということが生み出されるような環境にする必要がある。
そのためには 上司や経営陣がやりかたを全部完璧に知っている必要はないけど 「やりかた」を生み出せるような環境整備は責任になるよね。
それが、役割なんだとおもうな。
星野氏のインタビューは、前編もあるんだけど そちらもとても興味深いですよ。
と、いうことで、また次回!
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