きっと、ふるえる 「ワンダー」R・J・パラシオ
目次
いったい何から話せばいいのだろうか?
しばらく前にこの本を読んだんだけど、何から話せばいいのかよくわからないんだよね。
僕は、この本を、おすすめする。
ただ、おすすめする理由を説明するのが、ちょっと難しい。
だけど できるだけ わかるように説明してみたい。
まずは、本の概要を、ちょっと紹介してみるね。
「オーガストは10歳の普通の男の子。ただし、顔以外は。」
オーガスト・プルマンは普通の男の子。ただし、顔以外は。生まれつき顔に障害があるオーガストは、幼い頃から人に怖がられたり、ぎょっとされることが多かった。10歳ではじめて学校に通うことになったが、生徒たちはオーガストの顔をみて悲鳴をあげ、じろじろながめ、やがて「病気がうつる」と避けるようになる。一方で、オーガストの話をおもしろいと感じる同級生は少しずつ増えていた。そんなとき、夏のキャンプで事件が起こる…
本のプロモーションフィルムもあった。
あと、丸善&ジュンク堂の 「全世界で300万部突破の感動作『ワンダー』特設ページ」 ってのもあったよ。
こうやって、紹介すると いわゆる「感動ポルノ」的な、お涙ちょうだい物語…みたいにおもえるんだけど、ちょっと違う気がするんだよね。
一般的にいわれる、「感動もの」っていうのは、自分とくらべて、「弱者」が何者かに立ちむかっていく姿をみて「感動」するって話だよね。
たとえば、「イヌなのに」はるか遠くへいってしまった飼い主を追いかけてくるとか、「子供なのに」大人でも過酷な環境をたくましく生き抜いて元気に育つなんて話。
「弱者なのに」強者である自分にも、できないようなことをやることを 見て「感動する」ってやつだね。
これは、自分側はあくまで「強者」の立場にいるわけで、弱者のストーリーを消費しているだけにすぎない。
はっきりいえば、弱者を弱者としてあつかうことによって 自分が感激するための見世物あつかいにするってものだね。
そういった「感動ポルノ (Inspiration Porn)」と、この本の違いって何だろうか?
誰が悪くて、こんなことになったんだろう?
最初に話しておくけど この物語はフィクションなんだよね。
まず、はじめに物語は、主人公のオーガストの視点から語られる。
そこで、オーガストに感情移入できるか?っていうと、そうでもあり、そうでもなし。
そして、途中からは、オーガストをめぐる、まわりの家族や友達の視点の話になる。
このあたりから、誰に感情移入していいか、わからなくなってくるんだよね。
もちろん 作者も考えてのことなんだろうけど。
ただ そうすると オーガストがおかれた状況は、いったい誰が悪くて、それはどうやって解決していったらいいんだろうか?
もちろん それは、読みすすめていくと 鮮やかに読者はわかるようになっているんだけどね。
「正しくあるよりも、親切であれ」
個人的な話だけど 僕は、日常的に 障害をもっている人とかかわりをもっている。
ときどき 僕の日常を知らない人が、そうとは知らずに とても無神経な話を僕に向かってする人がいる。
あまりに酷い場合には、僕はその人と関わりを断つこともある。
(実際、ときどきある。相手はなぜ、僕が関わりを断ったのかわからない場合もあるみたい。それはそれでいいと思っている。)
ただ、ほとんどのケースは、障害を持っている人に どのように接していいのか わからないケースが大半だということは 間違いないとおもう。
そういうときに いつも思う。
「やさしさ」とは何か? 「親切」とは何か? 「正しさ」とは何か?
もちろん わからないんだけど この本の語りかけるメッセージは、明確なんだよね。
「正しくあるよりも、親切であれ」
そう、簡単ではないんだろうけど、読後には、きっと「正しくあるよりも、親切」でありたいと思えるはず。
児童書だけど、大人も、もちろんOK!
もともと児童書のカテゴリーなので、文章は平易。
ただ、けっこうボリュームあるので、小学生にはちょっと大変かな? 本好きな子だったら読めるかな?
児童書といっても、大人の読書に十分耐えられる内容。
全世界で300万部以上っていうのも、納得できるね。
と、いうことで、また次回!
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